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夏のハモニカ学校2002
朝の光の中で白樺のやわらかな緑の葉がそよいでいる。昇り始めたばかりの太陽もまばゆく一日の暑さを予感させる。
芝に覆われたゆるやかな斜面には白樺の他にもすっくと青空に伸びる木々が豊かな緑を抱えて、あちこちに樹影を落としている。朝食前だというのに、そこここの木陰にひとり、ひとりとハーモニカの音階練習に励む男女の姿が。「夏のハモニカ学校」ならではの光景だ。
テンホールズやクロマチックハーモニカの演奏技術を磨きたい。そんな思いで全国から集まった80名ほどのハーモニカファン。今年で3回目となる2泊3日の「夏のハモニカ学校」。3年連続参加の人もいれば、ことし初めてという人もいる。その誰もがこよなくハーモニカを愛している。地方の人にとっては、周りの人すべてがハーモニカ吹きというシチュエーションはカルチャーショックでさえあるようだ。
プロプレイヤーたちと親しく接し、10名前後の小人数で受けるセミナー。松田幸一さん、妹尾隆一郎さん、浅見安二郎さん、西村ヒロさん、石川二三夫さん、佐々木コテツさん、和谷泰扶さん、竹内直子さんといった錚錚たる講師陣の個性あふれる講義は熱がこもっている。
夜の交流会は車座になって参加者の自己紹介から始まる。一日目の夜は浅見さんが自作の紙芝居をハーモニカ演奏付で演じてくれた。蒸気機関車デゴイチが主人公の話だ。デゴイチの車輪をクローズアップした場面では、その銀色の車輪が動く仕掛けがしてあって大いに受ける。妹尾さん、浅見さん、石川さんのブルースセッションにも歓声が沸く。
参加者の中には気象予報士さんもいて、今回初めて企画したスターウォッチングのガイド役をお願いした。双眼鏡を手に頭上に焦点を合わせると夏の大三角形と呼ばれる明るい星を中心に天の川が広がる。子供の時以来久しぶりに見る天の川に感激した。ロッジに戻ると、ビールやお酒も入ってハーモニカ談義に花が咲く。深夜零時を回っても終わる気配はない。それどころかクロマチックの特訓を終えた和谷さんも午前1時過ぎに合流していっそう盛り上がる。
二日目の午後企画された「スペシャルライブ」は圧巻だった。石川さんのご機嫌なブルースで開演、次はコテツさんとキーボードのヤンシーさんとの絶妙なコンビ。そして司会進行を務めてくださるヒロさんの軽快なおしゃべりと歌。女性たちの視線が熱い。次は松田さんの登場。おなじみのレパートリーを小出 斉さんのギターとヤンシーさんのキーボードをバックに3曲。会場は和やかな雰囲気に包まれている。トリは妹尾さん。楽しいおしゃべりとブルースがすっかりギャラリーの心を捉えている。最後は「聖者の行進」で大セッション。熱い熱いライブだった。
夜はキャンプファイヤー。交流会では松田さんのギターをバックに盛り上がったハーモニカセッション。そして翌日、午前のセミナーのあと午後は受講生たちの発表を兼ねたコンサート。ちいさな楽器ハーモニカを通して出会った人たちの夏も9月1日、幕を閉じた。
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